「東電OL殺人事件」 昼間はエリート 夜は娼婦 そして誤認逮捕。内容 感想
平成8年3月8日、OL女性が絞殺された。
その女性は、昼間は東京電力初の女性幹部として働き、夜は立ちんぼ娼婦として一日ノルマとして4人を相手していたとされる。
父は東大卒、母は日本女子大卒。
周りから見れば、裕福で誰もがうらやむ家庭だった。
それが、東電重役一歩手前、病により52歳で尊敬する父を亡くしたことがきっかけとなったのか。
昼間は東電エリートとして勤務。
退社後は帰宅せず、渋谷円山町に赴き通りすがる男性に声掛けをする。
ホテルの時も有れば、屋外駐車場でもあれば場所もいとわなかったようだ。
そして、冤罪で拘留されたネパール人のゴビンダ被告。
決定的な証拠もなく、まるで決めつけるかのような検察側の主張。
第三者の可能性も十分あり得る中で、過去に買春客であったゴビンダ被告。
死体現場となった神泉駅近くの喜寿荘101号室のカギを所持していたゴビンダ被告ではあるが、被告に当てはまる状況証拠だけを取り上げる日本司法の強引さを感じるものであった。
しかし、事件当時施錠はされておらず、被害者女性もその部屋が空室であり性行為の場所として使用経験もあったことから一概に犯人は特定できない。
日本に出稼ぎに来ていた外国人が冤罪で約3年間拘留された。
第30回にも及ぶ公判、そして論告、求刑。
判決は、東京地裁第425号法廷で行われ「無罪」が言い渡された。
この事件においては、裁判制度、被害者の行動に非常に関心が沸く。
なぜ、エリート女性がそこまで大堕落をしなければいけなかったのか。
尊敬する父と比較した時の、自身の劣等感、自己嫌悪等に苛まれたのか。
一時出向していた研究所でも、経済的論文を出し高く評価もされていたようだ。
拒食症も患い、周りとの交流もあまりないく、非常に几帳面で律儀、仕事ができる。
なぜそうなったのか、いったい誰に殺害されたのか謎のままである。
著者 佐野眞一氏による推論、情報収集、ノンフィクション作家よる表現は非常に興味深く拝読できた。
#東電OL殺人事件